大田原高校の件については、あまりにも大惨事なので、本当に記事にするのを避けていた。


だが、状況がわかるにつれ、自分の中で解禁した。

この雪崩事故についてだけ焦点化してもどうしようもない怒りがこみあげてくる。


まず、経験豊かな先生の中にいる、素人顧問。しかも採用されたばかりの初任者。
安全と言われたら従うしかない。

文句も言わず、従ったのだろう。素直な先生だ。今時29歳の先生といえば、超若手。体を張るのが仕事のような面もある。

返事は常に「はい」。これが新人教諭ってもんだ。

そして部活の掛け持ち。いわゆる、部活の数に対して、教諭、講師の数が、確保されていない。

顧問ができない人がたくさんいたと思われる。(子育て、介護など)

それならば、廃部、休部の選択肢もあろうが、校長は何とか、部活を維持しようとする。

だから、子育ても介護もない先生たちは格好の標的にある。または同調圧力が働く。


校長の気持ちもわかる。今まで頑張っている生徒が、突然の休部で困るからだ。

だからといって、顧問をテキトーにあてがうなど、もってのほかと今回の事件でわかったはずだ。



つづいて、経験則という、今回しょっちゅう出てくる言葉。

私も本当に思い当たる。本来30℃を過ぎたら、運動には適さないはずだ。この中で試合や練習をしょっちゅうする。35℃でもする。

私としては、立っているだけで、手の甲や、足のすねから、汗が出てきたら、危ないと思っている。その時は、目の下くらいから汗が出るときがある。

とにかく、立っているだけで、信じられないところから汗が大粒で出てくるときがある。これでも、先輩の先生たちは部活の試合や練習をやめようとしない。熱中症死亡事故の危険性を知っていてもだ。

日程を消化できないというのもある。生徒からの不満も出るというのもある。
たぶん、練習をやめないというのは「経験則」としか言いようがない。

きついなら、少し休みたいと生徒が言ってくるだろう。(経験則)
過去20年この競技にかかわっているが、大丈夫だった。(経験則)

それって、たまたま、熱中症にならなかっただけだよ。経験則でものを言うと危ないんだよ。

毎年、熱中症死亡事故があるじゃないか。教師がついていても起こっているじゃないか。経験則の判断がこれほど恐ろしいとわかってほしい。


無線機から10分程度離れていた。これについても私は思い当たることがある。

練習場所から、離れることは平気である。もちろん生徒たちを信用して、離れている。
「自分たちで練習内容を決め、自主的にできるから」と経験則で判断しているからである。

土日、職員室にいて、部活の練習をさせていることはしょっちゅうである。

「職員室にいるよ」と言っておきながら、別部屋で作業をしていたこともしょっちゅうある。
生徒がけがをしても、元気な生徒が、私の居そうなところを探してくる。

これも、今まで大丈夫だったから「経験則」で判断をしている。


ある種、体罰もこれに似ているのでは?
大阪 桜宮のバスケ。いつも、キャプテンを殴って部の規律を維持していた。生徒も納得していた。そして常勝だった。生徒は成長する。卒業後も慕ってくれる。
これが、大阪高体連バスケットボール専門部の技術委員長の小村基先生の経験則である。
ボコボコに殴るのが、経験則で「普通の指導」だったわけだ。この事件がなければ、定年まで同じことをしていただろう。

たとえば、この方針に、競技経験のない初任者が歯向かうことができようか?
できることといえば、その場から目をそらすことくらいであろう。



県高等学校体育連盟登山専門部の委員長で、大田原高校山岳部顧問の猪瀬修一先生も、経験則で安全と判断しているのである。
地元関係者、救助隊が口をそろえて「危険」と言っている場所である。
もちろん、今回の事件がなければ、過去も行った訓練なので今後もやったと思う。定年を迎えるまで「普通の指導」として。

いったい、高体連の専門部ってなんなんだと思ってしまう。

確かに、学校業務も一生懸命行い、生徒思いだった面もあるだろう。

どう考えても、部活制度を今後も続けていくにはリスクが高い。

先生の精神や生活までボロボロになる。巻き込まれる生徒は本当に気の毒。

完全に制度欠陥である。







本当に部活制度は曖昧すぎないか。

授業だったら、先生が生徒の場を離れることはない。

郊外で学習するときも、管理職、教育委員会に詳細な活動計画を出して実施する。

練習試合や大会の場合、顧問どうしの判断で、会場をおさえ、試合をする。

部活はそんなもんだ、と思っていて、生徒も保護者もそんなもんだと思っているから、いいのであって、何とか「運よく」運営できているのである。


これが、死亡事故になったら、どうするんだ。その場に管理職はいない。養護教諭もいない。
この二人がいるよりかは、ナースや医師がいたほうがいいと思うが、まったくそんなことはない。


救急車が試合会場に来ることはいっぱいある。いつも、軽い熱中症で、点滴を打って終わる。

保護者は「スポーツしてるから、これくらいありますよ」と言ってくれるが、こっちとしては心労は大変なものである。

じゃあ、安全教育のための「研修」をすればよいのか?と言っても、どうしようもない。
どう勤務時間との整合性をつけるのか? 授業の時間、教材の準備だけでも週40時間は、はるかに超える。

安全管理、顧問の就任方法、

すべて部活制度の問題点がくっきり出てきたと思う。




さて、これが、地域のクラブチームだったらどうであろう。

まったく別の状況になると思う。これを書くと、大変になるので、今日はこの辺で。